仕訳プリント⑫-2 配当 

次の取引を仕訳しなさい。

1. 株主総会において、繰越利益剰余金を財源として株主配当金が¥200,000、利益準備金が¥20,000とすることを決定した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

繰越利益剰余金220,000未払配当金200,000
利益準備金20,000

【解説

株式を発行している会社が株主に対して利益を還元するために、配当金を交付することがあります。これを、剰余金の配当といいます。本問はその際の仕訳をします。
問題文に「繰越利益剰余金を財源とする」とあることから、繰越利益剰余金を減らして配当金などに充てることがわかります。
なお、この段階では株主総会で配当金を交付することが決まっただけであり、実際にはまだ配当金の交付は行われていません
したがって、いったん勘定科目「未払配当金(負債)」を使って計上し、あとで配当金を支払うということを記録しておきます。
未払配当金は「あとで株主に配当金を交付しなければならない義務」といえるので、負債になります。

また、このように配当金交付の決議がなされるにともなって、勘定科目「利益準備金(資本)」も同時に積み立てる必要があります。これは、会社法によって規定されているルールです。
本問では、未払配当金の計上と同時に、利益準備金を20,000円計上します。
この利益準備金についても、繰越利益剰余金から充てることになります。
なお、利益準備金は資本ですので、増やすときには貸方(右)に記入します。

未払配当金(負債)が増加したので貸方(右)に未払配当金200,000、利益準備金(資本・純資産)が増加したので貸方(右)に利益準備金20,000を、これらの財源として繰越利益剰余金(資本・純資産)を減少させるので借方(左)に繰越利益剰余金220,000を示します。

剰余金の配当の際には、未払配当金と同時に、その1/10の利益準備金も計上する

※利益準備金の意味は、会社に対する債権者を保護するために、剰余金の全てを株主に還元してしまわないようにすることにあります。
法律上会社の所有者たる株主が、会社内部に剰余金がたくさんあるならば、配当をたくさん受け取りたいと思うのは当然のことです。
しかし、会社は将来起こりうるリスクに備えなければなりません。借入金や買掛金などの債務があるならば、その返済を余裕をもって行えるようにしておくべきです。もしも純損失を計上してしまったのなら、剰余金などからその補てんができるように備えておくべきです。これらがショートして会社が破綻してしまうと、会社に対して債権を有する銀行や取引先の会社に大きな損失を与えてしまいます。
剰余金の全額を配当金にしてしまうと、このような備えがおろそかになってしまいます。
そのため、配当の際に剰余金の一部を備えのために積み立て、利益準備金という名目で会社に内部留保させておくことが、会社の義務として法律で定められているのです。

2. 株主総会で決定した株主配当金¥200,000を当座預金から支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

未払配当金200,000当座預金200,000

【解説

問1のように、株主総会で配当金の交付が決議されたときには、いったん未払配当金で計上されます。
本問は、その配当金を実際に当座預金から支払ったときの仕訳を行います。
未払配当金という「あとで配当金を支払わなければならない義務」を果たしたため、未払配当金はなくなります(減少します)。
なお、ここでは利益準備金は関係ないので仕訳には出てきません。
また、問題文には「株主配当金」という言葉はありますが、「未払配当金」という言葉はありません。しかし、株主総会時に計上され(問1の仕訳)、またこの仕訳でも使う勘定科目は「未払配当金」ですので注意してください。

当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金200,000、未払配当金(負債)が減少したので借方(左)に未払配当金200,000を示します。

3. 株主総会において、繰越利益剰余金を財源として株主配当金が¥2,100,000、利益準備金が¥210,000とすることを決定した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

繰越利益剰余金2,310,000未払配当金2,100,000
利益準備金210,000

【解説

問1と同じように、未払配当金と利益準備金の増加を計上し、繰越利益剰余金を減少させる仕訳をします。

未払配当金(負債)が増加したので貸方(右)に未払配当金2,100,000、利益準備金(資本・純資産)が増加したので貸方(右)に利益準備金210,000を、これらの財源として繰越利益剰余金(資本・純資産)を減少させるので借方(左)に繰越利益剰余金2,310,000を示します。

4. 株主総会で決議された株主配当金¥2,100,000を普通預金から支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

未払配当金2,100,000普通預金2,100,000

【解説

問2と同じように、未払配当金を実際に支払ったときの仕訳をします。

普通預金(資産)が減少したので貸方(右)に普通預金2,100,000、未払配当金(負債)が減少したので借方(左)に未払配当金2,100,000を示します。