簿記とは


 ――事務系の仕事を求める人のステップアップのために

 簿記は「帳簿への録」を行う技術です。小さな個人商店も、大企業も、商売をする以上は、そのお金の動きを記録する必要があります。正しく記録しないと、もうかっているのかどうかも分かりませんし、納める税金の計算もできません。すべての企業に経理の仕事が必要となりますから、そのための簿記の知識や技術は必須となります。

 少し難しくなりますが、様々な取引を漏れなく記録する方法として「複式簿記」があります。起源は中世のイタリア、日本に伝えたのは福沢諭吉とされています。一般に「簿記を勉強する」と言えば、この複式簿記の方法を勉強することになります。

簿記の資格検定


 ――やはり「日商」を取得したいです

 簿記の知識・技術を勉強したら、その資格も欲しくなります。簿記の検定試験はいくつかの団体によって主催されています。団体毎に、「日商」「全経」「全商」といった種類があります。

 社会人を含めて最も多くの人が受験するのが「日商簿記」、つまり日本商工会議所が主催する簿記検定です。毎年ペーパー試験が年3回実施されているだけでなく、近年ではネット試験も開始され、より柔軟に受験ができるようになりました。受験者が最も多い3級では年間30万人前後が受験する人気の資格です。

日商簿記の難易度


 ――2級が難しくなっています

 3級は複式簿記の基本である商業簿記の仕訳や伝票と、その転記と集計、決算書の作成までが出題されます。70点以上で合格となります。全国平均の合格率は約41%ですが、当校では在学中の合格率は約88%となっています。

 2級は商業簿記60点・工業簿記40点の配点となっています。工業簿記は主に製造業で使われる簿記で、建設業やソフトウェア制作でも必要な原価計算が対象となります。商業簿記2級は近年その出題範囲が広がり、難易度も高くなっています。なかなか独学で取得することが難しい資格になりました。当校では訓練在籍中の合格者は55名、修了後を含めると70名以上の皆さんが合格しています。(合格者数はいずれも2023年3月現在)

日商簿記ネット試験


 ――ネットでいつでも受験できるようになりました

 上述したように、日商簿記検定はこれまで6月・11月・2月の年3回の集合形式による検定のみでした。しかし、コロナ禍による影響で、1年を通じてインターネットを利用して随時受験できるネット検定(2級・3級)が始まりました。もちろん、資格としての価値は集合形式でもネット検定でも同じです。

 当センターはネット試験の会場として日本商工会議所より認可を受けており、職業訓練の受講生の方は、普段教室で使っているパソコンで受験することができます。
 また今後、職業訓練受講生以外の方についても、日商簿記検定の受験を受け付ける準備をしています。

就職に向けた資格の優位性


 日商簿記3級は取得する人も多く、事務職へ応募する際にできれは取っておきたい資格です。
 日商簿記2級は難易度が高く、特に経理事務を志望する人にとっては大きなアドバンテージとなるでしょう。

 ただし、企業側が求人する場合、「資格」よりも「実務での経験」を重視することもあります。前任者が退職予定で、早急に後任を採用したい場合などです。ですから、資格を取れば必ず就職が約束されるわけではありません。しかし、特に実務経験が少ない人にとって、簿記の資格を取得することは「事務的能力の証明」や「事務を目指す真剣さ」をアピールする武器となります。

建設業経理士2級


 上述した簿記検定の他にも簿記の資格はあります。ここでは建設業経理士2級を紹介しましょう。
 公共工事の入札参加のための経営審査事項においては、建設業経理士2級以上の取得者の人数が点数に反映されます。つまり、2級以上の有資格者が在籍しているだけで、会社にとって大きな利点となるのです。

 したがって、建設業の事務職の方や、それを目指す方にとって、建設業経理士2級以上は大きな意味を持つ資格と言えるでしょう。
 当校では2018年より建設業経理士2級講座を2回開催しており、合格者を輩出しています。

☆関連リンク

日本商工会議所 簿記検定

建設業振興基金 建設業経理検定

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