仕訳プリント⑤ 消費税 

次の取引を仕訳しなさい。

1. 商品¥200,000(税抜)を仕入れ、消費税10%を含めた額を小切手を振り出して支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

仕 入200,000当座預金220,000
仮払消費税20,000

【解説

仕入取引に関して、消費税について言及されている場合は、仕入金額に加えて消費税を計上する必要があります。
仕入商品200,000円(税抜)の10%である20,000円を消費税として支払います。消費税を支払うときには、勘定科目「仮払消費税(資産)」で処理します。

決算において、①期中に受け取った消費税から②期中に支払った消費税③差し引いた金額を計上し、のちに納税する必要があります。仮払消費税は②にあたります。
なお、仮払消費税は「実際に納税する消費税のうち、その金額分控除できる権利」といえるので、資産になります。

仕入(費用)が増加したので借方(左)に仕入200,000、仮払消費税(資産)が増加したので借方(左)に仮払消費税20,000を、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金220,000を示します。

期中に支払った消費税は、「仮払消費税」として計上していく

2. 備品¥150,000(税抜)を購入し、消費税10%を含めた額は月末に支払うこととした。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

備 品150,000未払金165,000
仮払消費税15,000

【解説

消費税は、当然さまざまな商品やサービスにもかかってきます。問1の仕入商品と同じように、固定資産を購入した際に消費税を支払ったならば仮払消費税として計上します。
また、備品の代金を後払いにする場合は、「買掛金」ではなく「未払金」を使うことに注意してください。

備品(資産)が増加したので借方(左)に備品150,000、仮払消費税(資産)が増加したので借方(左)に仮払消費税150,000を、未払金(負債)が増加したので貸方(右)に未払金165,000を示します。

3. 商品¥60,000(税抜)を売り上げ、消費税(10%)を含めた額を掛けとした。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

売掛金66,000売 上60,000
仮受消費税6,000

【解説

売上取引に関して、消費税について言及されている場合は、売上金額に加えて消費税を計上する必要があります。
売上商品60,000円(税抜)の10%である6,000円を消費税として受け取ります。消費税を受け取るときには、勘定科目「仮受消費税(負債)」を使います。
決算において、①期中に受け取った消費税から②期中に支払った消費税を③差し引いた金額を計上し、のちに納税する必要があります。仮受消費税は①にあたります。
なお、仮受消費税は「その金額から仮払消費税を控除した金額を消費税として納税しなければならない義務」といえるので、負債になります。

売掛金(資産)が増加したので借方(左)に売掛金60,000を、また売上(収益)が増加したので貸方(右)に売上60,000、仮受消費税(負債)が増加したので貸方(右)に仮受消費税6,000を示します。

期中に受け取った消費税は、「仮受消費税」として計上していく

4. 商品¥132,000(税込)を売り上げ、代金のうち\100,000は当店あての約束手形で受け取り、残額は現金で受け取った。なお、消費税率は10%である。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

受取手形100,000売 上120,000
現 金32,000仮受消費税12,000

【解説

問題文にある商品価格は「税込」であるため、仕訳をする際にはここから本体価格消費税額自分で計算しなければなりません
計算の際には、本体価格を100%としたとき、そこに消費税10%を加えると、税込価格は110%であることに注意してください。
本体価格と消費税額を求めると次のようになります。

本体価格:税込価格132,000円÷110%=120,000円
     もしくは 税込価格132,000円÷110×100=120,000円
消費税額:税込価格132,000円-本体価格120,000円=12,000円
     もしくは 本体価格120,000円×消費税率10%=12,000円

受取手形(資産)が増加したので借方(左)に受取手形100,000、現金(資産)が増加したので借方(左)に現金32,000を、売上(収益)が増加したので貸方(右)に売上120,000、仮受消費税(負債)が増加したので貸方(右)に仮受消費税12,000を示します。

5. 決算にさいし、消費税の処理を行う。仮払消費税の借方残高は¥69,000、仮受消費税の貸方残高は¥140,000である。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

仮受消費税140,000仮払消費税69,000
未払消費税71,000

【解説

決算において、①期中に受け取った消費税(仮受消費税)から②期中に支払った消費税(仮払消費税)を③差し引いた金額を計上し、のちに納税する必要があります。本問では、のちに納税する③未払消費税を計上する問題です。
決算において消費税の納税額は確定しますが、実際にはまだ支払っていないことから、このときには勘定科目「未払消費税(負債)」を使います。
未払消費税は「あとで消費税としてこの金額を納付しなくてはいけない義務」であるため、負債になります。

➀仮受消費税➁仮払消費税➂未払消費税
期中に受け取った消費税期中に支払った消費税最終的に当期分として税務署に納税しなくてはならない消費税

本問での未払消費税の金額を求めると、次のようになります。

仮受消費税140,000円-仮払消費税69,000円=未払消費税71,000円

なお、仮受消費税と仮払消費税は、当期の未払消費税を算出するためだけに「仮」の名前で計上していたものなので、実際に未払消費税を算出した後には役目を終えてそれぞれを0になるようにリセットします。
もし残高をリセットせずそのまま次期に繰り越してしまうと、次期の消費税の計算に影響が出てしまい、次期の算出額が不正確になってしまいます。

仕訳の方法は次のように行います。
➀仮受消費税は負債なので、期中に増えれば貸方(右)に蓄積されています。この仮受消費税の全額を打ち消すように借方(左)に記入します。

仮受消費税140,000

➁仮払消費税は資産なので、期中に増えれば借方(左)に蓄積されています。この仮払消費税の全額を打ち消すように貸方(右)に記入します。

仮受消費税140,000仮払消費税69,000

最後に、貸借の差額を埋めるように、貸方に未払消費税を計上します。

仮受消費税140,000仮払消費税69,000
未払消費税71,000

決算時にこの仕訳を行うことで、仮受消費税と仮払消費税はリセットされて0になり、未払消費税の残高だけが残ることになります。

仮受消費税(負債)を減少させるので借方(左)に仮受消費税140,000、仮払消費税(資産)を減少させるので貸方(右)に仮払消費税69,000、最後にその差額を未払消費税(負債)とするので貸方(右)に未払消費税71,000を示します。

当期の仮受消費税から当期の仮払消費税を差し引いて、当期の未払消費税を算出する
当期の未払消費税を算出したときに、お役御免となる仮払消費税と仮受消費税はなくなる

※基本的に利益が出る場合支出よりも収入が大きくなるので、仮受消費税>仮払消費税となり未払消費税が発生します。しかし、固定資産の購入等で大きな出費をしていたり、主な売上先が海外企業で消費税を受け取っていなかったりするときには、仮受消費税<仮払消費税となる場合があります。このときには、未収還付消費税としてあとで支払過多分を受け取ることができます。
なお、未収還付消費税は簿記3級の範囲外なので、学習の上では未払消費税だけを覚えれば問題ありません。

6. 決算において、消費税の納付額を計算する。仮払消費税(借方残高)は¥130,000、仮受消費税(貸方残高)は¥245,000残っている。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

仮受消費税245,000仮払消費税130,000
未払消費税115,000

【解説

問5と同じように、仮払消費税と仮受消費税から未払消費税を算出します。
また、未払消費税の算出のために役目を果たした仮払消費税と仮受消費税の残高はなくなります(減少します)。

仮受消費税245,000円-仮払消費税130,000円=未払消費税115,000円

仮受消費税(負債)を減少させるので借方(左)に仮受消費税245,000、仮払消費税(資産)を減少させるので貸方(右)に仮払消費税130,000、最後にその差額を未払消費税(負債)とするので貸方(右)に未払消費税115,000を示します。

7. 上記6の税額を現金で納付した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

未払消費税115,000現 金115,000

【解説

問6で計上していた未払消費税を実際に支払った際の仕訳をします。
未払消費税という「あとで消費税を納税しなければならない義務」を果たしたので、未払消費税はなくなります(減少します)。
なお、法人企業ならば基本的に、決算から2か月以内に消費税を納税することになります。

未払消費税(負債)が減少したので借方(左)に未払消費税115,000、現金(資産)が減少したので貸方(右)に現金115,000を示します。