仕訳プリント⑦-1 貯蔵品 

次の取引を仕訳しなさい。

1. 決算において、未使用の郵便切手500円が残っていたため、貯蔵品勘定へ振り替えた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

貯蔵品500通信費500

【解説

決算時において、未使用のまま残っている切手に関する決算整理仕訳です。
切手を購入する際には、通信費の増加で仕訳を行います。その切手を当期中に使用する予定であってもなくとも、購入した段階ではとりあえず通信費で処理してしまいます。そして決算となります。当期中に使用した分の切手については、そのまま通信費として計上されていて問題ありません。
しかし、未使用分はどうでしょうか。未使用ということは、それは当期の費用ではないということです。おそらくは次期に使うのですから、次期の費用として計上しなくてはいけません。しかし、未使用の切手を通信費のままにしておくと、決算で当期の費用として処理されてしまいます。これを避けるために、未使用分の切手を通信費勘定から、費用として処理されない別の勘定科目に移す必要があります。そこで使用するのが勘定科目「貯蔵品(資産)」です。使用せずに社内に貯めておく物品を意味し散るので、資産です。

この貯蔵品勘定を使うとどういうことができるでしょうか。
たとえば、当期中に切手を2,300円分購入したとします。このとき、通信費は2,300円計上されています(電話代など他の通信費はないものと考えます)。決算になり、500円分の切手が未使用で残っていました。決算整理仕訳として通信費を500円分減少させ、貯蔵品を500円増やします。こうすると、財務諸表において通信費1,800円、貯蔵品500円と記録されます。これを見れば、「当期において切手を2,300円購入し、そのうち当期中に使ったのが1,800円分で、残り500円分は未使用のまま残っている」ということが把握できるようになります。

通信費(費用)を減少させるので貸方(右)に通信費500、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品500を示します。

決算時に未使用の切手が残っていた場合は、その分の通信費を減らし、貯蔵品を増やす

※貯蔵品勘定は切手以外にも使用することがあります。問2を見てみましょう。

2. 決算において、未使用の収入印紙4,000円が残っていたため、貯蔵品勘定へ振り替えた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

貯蔵品4,000租税公課4,000

【解説

決算において、未使用の収入印紙が残っていた場合の決算整理仕訳です。問1の切手(通信費)と同じように、収入印紙も未使用分は当期の費用として計上したくありません。したがって、租税公課勘定で処理していた収入印紙も、未使用分だけ貯蔵品勘定に振り替える仕訳を行います。扱う勘定科目が通信費ではなく租税公課であることに注意してください。

租税公課(費用)を減少させるので貸方(右)に租税公課4,000、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品4,000を示します。

決算時に未使用の収入印紙が残っていた場合は、その分の租税公課を減らし、貯蔵品を増やす

※簿記3級においては、貯蔵品勘定は切手、収入印紙の決算整理仕訳においてのみ使います。しかし、「使わずに社内に貯めている物品」という広く使いやすい勘定科目なので、別の処理にも使うことがあります。2級も学ぶ予定の方は頭の片隅に留めておいてください。

3. 決算整理前の通信費勘定の残高は12,000円(借方残高)である。未使用の郵便切手1,800円が残っていた。また、この仕訳によって、通信費勘定の残高はいくらに変わるか答えなさい。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額

決算整理仕訳後の通信費残高
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【解答】

貯蔵品1,800通信費1,800
仕訳後の通信費残高10,200円

【解説

問1と同じように、未使用の切手について貯蔵品に振り替える仕訳を行います。なお、貯蔵品に振り替えるのは未使用分の1,800円だけです。通信費残高12,000円(借方)は、当期中に計上した通信費の総額です。購入した切手代だけでなく、電話代やインターネット代も含まれているでしょう。その内訳はわかりませんが、とにかくそれら通信費が当期12,000円計上され、そのうち1,800円分は未使用の切手だったので、通信費から仕訳で減らすことになります。

通信費(費用)を減少させるので貸方(右)に通信費1,800、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品1,800を示します。

また、この決算整理仕訳を行った後の通信費残高は

整理前残高12,000円-1,800円=10,200円

となります。

4. 決算整理前の租税公課勘定の残高は9,000円(借方残高)である。未使用の収入印紙800円が残っていた。また、この仕訳によって、租税公課勘定の残高はいくらに変わるか答えなさい。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額

決算整理仕訳後の租税公課残高
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【解答】

貯蔵品800租税公課800
仕訳後の租税公課残高8,200円

【解説

問2と同じように、未使用の収入印紙について貯蔵品に振り替える仕訳を行います。租税公課が当期9,000円計上され、そのうち800円分は未使用の収入印紙だったので、租税公課から仕訳で減らすことになります。

租税公課(費用)を減少させるので貸方(右)に租税公課800、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品800を示します。

また、この決算整理仕訳を行った後の租税公課残高は

整理前残高9,000円-800円=8,200円

となります。

5. 決算において、未使用の郵便切手900円と未使用の収入印紙1,600円を貯蔵品勘定へ振り替えた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

貯蔵品2,500通信費900
租税公課1,600

【解説

未使用の切手と収入印紙について、まとめて貯蔵品に振り替える仕訳をします。それぞれ通信費勘定、租税公課勘定のどちらを使うのか混同しないように注意してください。

通信費(費用)を減少させるので貸方(右)に通信費900、租税公課(費用)を減少させるので貸方(右)に租税公課1,600を、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品2,500を示します。

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