仕訳プリント④ 固定資産・債権債務 

次の取引を仕訳しなさい。

問1~9  <問10~19>

10.従業員への給料の支払いにつき、給料総額¥3,420,000から源泉所得税¥248,000を差し引き、残額を当座預金から振り込んで支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

給 料3,420,000所得税預り金248,000
当座預金3,172,000

【解説

従業員に対して給料を支払ったときは、勘定科目「給料(費用)」を使います。
従業員が負担すべき所得税を、いったん会社が従業員の給料から預かる源泉徴収を行う場合は、勘定科目「所得税預り金(負債)」もしくは「預り金(負債)」を使います。
会社が預かった所得税は、のちに会社が納税することになります。
なお、この仕訳は以下の2つの仕訳を合算したものとなります。

会社が従業員に当座預金から給料を支払った仕訳:
給 料3,420,000当座預金3,420,000
会社が従業員から所得税分の金額を当座預金に預かった仕訳:
当座預金248,000所得税預り金248,000


したがって、給料の金額は3,420,000円から変わらず、当座預金の金額の一部が貸借で相殺されることになります。
給料の金額を差し引いてしまう間違いが多いので、注意してください。

給料(費用)が増加したので借方(左)に給料3,420,000を、所得税預り金(負債)が増加したので貸方(右)に所得税預り金248,000、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金3,172,000を示します。

給料の支払いにともない源泉徴収する場合は、所得税分について「給料」勘定の金額は減少させず、実際の支払う手段(現金や預金)の金額を減少させる

※「○○預り金」は、所得税預り金のほかに社会保険料預り金住民税預り金などがあります。これらは全て従業員からお金を預かった際の勘定科目であり、負債です。また、こういった区分をせずに預かったお金をまとめて「預り金」勘定で記帳する場合もあります。

11.従業員が支払うべき生命保険料¥114,000を現金で支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

立替金114,000現 金114,000

【解説

従業員が支払うべき金銭を会社が代わりに支払ったときは、勘定科目「立替金(資産)」を使います。
本問の場合、従業員の生命保険料を費用として会社が負担したのではなく、あくまで代わりに一時的に支払った、まさに立て替えて支払っただけなので、会社はあとで従業員からその金額を受け取ることになります。

なお、「立替金」と「預り金」は混同しやすいため注意が必要です。

分 類解  説
立替金資産従業員から金銭をまだ受け取っていない段階で、会社が代わりに支払いを済ませた金額です。
「あとで従業員からその金額を受け取ることができる権利」といえるので、資産になります。
預り金負債従業員から金銭をすでに預かっているが、会社がその支払いをまだ行っていない金額です。
「あとで預り金をしかるべき相手(税務署や年金機構など)に支払わなくてはならない義務」といえるので、負債になります。

立替金(資産)が増加したので借方(左)に立替金114,000、現金(資産)が減少したので貸方(右)に現金114,000を示します。

立替金は、会社が従業員から金銭を受け取ってない段階で代わりに支払ったもの
預り金は、会社が従業員から金銭を受け取った段階でまだ支払っていないもの

12.従業員への給料の支払いにつき、給料総額¥2,800,000から上記11の生命保険料と源泉所得税¥130,000を差し引いた残額を現金で支払った。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

給 料2,800,000立替金114,000
所得税預り金130,000
現 金2,556,000

【解説

問11で計上した立替金を、給料支給の際に従業員から受け取ったときの仕訳をします。同時に、問10のように所得税預り金を計上します。
なお、このような複雑な仕訳は問題を一読しただけでは間違いやすいものです。そういったときは以下のように分解して整理し、最後に合算するようにすれば間違いにくくなります。本問では、以下の3つの仕訳に分解できます。

会社が従業員に現金で給料を支払った仕訳:
給 料2,800,000現 金2,800,000
会社が従業員から立替金分を現金で受け取った仕訳:
現 金114,000立替金114,000
会社が従業員から所得税分の金額を現金で預かった仕訳:
現 金130,000所得税預り金130,000


したがって、給料は2,800,000円から変わらず、現金の金額の一部が貸借で相殺されることになります。

給料(費用)が増加したので借方(左)に給料2,800,000を、立替金(資産)が減少したので貸方(右)に立替金114,000、所得税預り金(負債)が増加したので貸方(右)に所得税預り金130,000、現金(資産)が減少したので借方(右)に現金2,556,000を示します。

※本問や問10など、給料から預り金や立替金を差し引く仕訳の際には、給料という費用の金額自体は変わらないことに特に注意してください。給料が2,800,000円ならば、給料が2,800,000円であることをちゃんと帳簿に記録して残しておく必要があります。その上で、その給料をどういう形で支払ったのか(現金でこれだけ支払った、立替金とこれだけ相殺した、あとで所得税の支払いに使うからこれだけ預り金とした)ということを貸方(右)で記帳するのです。

13.上記12で給料から控除してあった源泉所得税¥130,000を、税務署に小切手を振り出して納付した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

所得税預り金130,000当座預金130,000

【解説

問12で計上した所得税預り金を、実際に税務署へ納付したときの仕訳をします。
「あとで預り金を支払わなくてはならない義務」である所得税預り金を実際に支払った=義務を果たしたことで、所得税預り金がなくなります(減少します)。

所得税預り金(負債)が減少したので借方(左)に所得税預り金130,000、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金130,000を示します。

14.銀行から¥2,000,000を借用証書で借り入れ、当座預金に入金された。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

当座預金2,000,000借入金2,000,000

【解説

銀行などの金融機関や得意先から金銭を借りたときには、勘定科目「借入金(負債)」を使います。
借入金は「あとでその金額を返済しなければならない義務」なので、負債になります。

当座預金(資産)が増加したので借方(左)に当座預金2,000,000、借入金(負債)が増加したので貸方(右)に借入金2,000,000を示します。

15.上記14の借入金および利息¥60,000の合計額を、小切手を振り出して銀行へ返済した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

借入金2,000,000当座預金2,060,000
支払利息60,000

【解説

問14で計上した借入金を返済したときの仕訳をします。
金銭を借りた際に発生した利息を支払うときは、勘定科目「支払利息(費用)」を使います。
借入金という「あとでその金額を返済しなければならない義務」を果たしたので、その分の借入金はなくなります(減少します)。

なお、今回支払ったのは合計で2,060,000円ですが、借入金自体の減少は2,000,000円しかありません。支払利息60,000円は、あくまでお金を借りるというサービスに対して支払った対価(レンタル料金)なので、借入金の返済額には含めません。

借入金(負債)が減少したので借方(左)に借入金2,000,000、支払利息(費用)が増加したので借方(左)に支払利息60,000を、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に2,060,000を示します。

16.銀行から¥2,000,000を借り入れ、利息¥60,000を差し引かれた金額が当座預金に入金された。このとき、同額の約束手形を振り出し、担保として渡した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

支払利息60,000手形借入金2,000,000
当座預金1,940,000

【解説

問14,15のかたちを変え、①借用証書ではなく担保として約束手形を利用し、➁利息の支払いについてのタイミングを変更した問題です。以下、①と②について詳しく見ていきましょう。

①約束手形を担保として利用する
金銭の借入時に、担保として約束手形を相手に渡すときは、「借入金」や「支払手形」と区別して、勘定科目「手形借入金(負債)」を使います。
これは、約束手形のシステムを金銭の貸し借りに流用していることを明示するためです。手形という金融機関を媒介させたシステムを用いているため、単に二者間で取り交わされる借用証書よりも信頼性が高く見られます(返済不能になった際の社会的制裁リスクが大きい)。
※なお、金銭を貸し付ける際に手形を受け取ったときには、「手形貸付金(資産)」を使います。

②借入時に利息の支払いをする
問14,15では、利息の支払いは借入金の返済時に行われました。
一方、本問では、利息の支払いが借入金の借入時に行われています。したがって、借入金2,000,000円から支払利息60,000円分を差し引いた1,940,000円が、実際に当座預金に入金された金額になります。
なお、借入金の金額は2,000,000円のまま変わらないことに注意してください
仕訳を考えると、以下の2つの仕訳を合算したものが解答の仕訳になります。

手形を使って借り入れた仕訳:
当座預金2,000,000手形借入金2,000,000
即座に当座預金から利息を支払った仕訳:
支払利息60,000当座預金60,000


当座預金に2,000,000円受け取ると同時に、当座預金から利息60,000円の支払いをしたということです。手形借入金の金額は2,000,000円から変わらず、当座預金の金額の一部が貸借で相殺されることになります。
支払利息60,000円は、あくまで2,000,000円を借りた際のお金のレンタル料金なのです。レンタル料金の先払いをしたからといって、あとで返済しなければならない手形借入金の金額は借りた2,000,000円から変わりません
手形借入金(もしくは借入金)の金額を差し引いてしまう間違いが多いので、注意してください。

支払利息(費用)が増加したので借方(左)に支払利息60,000、当座預金(資産)が増加したので借方(左)に当座預金1,940,000を、また借入金(負債)が増加したので貸方(右)に借入金2,000,000を示します。

約束手形を利用して金銭の貸し借りを行った際には、「手形借入金」「手形貸付金」を使う
(手形)借入金について、利息の支払いをどのタイミングで行うかによって、仕訳の処理が異なる

17.上記16の借入金¥2,000,000を、小切手を振り出して銀行へ返済した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

手形借入金2,000,000当座預金2,000,000

【解説

問16で計上した手形借入金を返済した仕訳をします。
利息の支払いについては、すでに問16の時点で完了しているため不要です。

借入金(負債)が減少したので借方(左)に借入金2,000,000、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金2,000,000を示します。

18.取引先に対して小切手を振り出して¥500,000を貸し付けた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

貸付金500,000当座預金500,000

【解説

取引先などに金銭を貸し付けたときには、勘定科目「貸付金(資産)」を使います。
貸付金は「あとでその金額を返済してもらえる権利」といえるので、資産になります。

貸付金(資産)が増加したので借方(左)に貸付金500,000を、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金500,000を示します。

19.取引先に対する上記18の貸付金のうち¥100,000の返済を受け、利息¥9,000を含めた金額が当座預金に振り込まれた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

当座預金109,000貸付金100,000
受取利息9,000

【解説

問18で計上した貸付金の一部が返済された際の仕訳をします。
金銭を貸し付けて発生した利息を受け取ったときには、勘定科目「受取利息(収益)」を使います。
一部返済されたことで、貸付金という「あとでその金額を返済してもらえる権利」を100,000円分行使したことになるので、貸付金は100,000円減少します。

当座預金(資産)が増加したので借方(左)に当座預金109,000を、貸付金(資産)が減少したので貸方(右)に貸付金100,000、受取利息(収益)が増加したので貸方(右)に受取利息9,000を示します。

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