第2問対策
(1) 次に示す7月中の商品売買取引の資料にもとづいて、移動平均法によって解答欄の商品有高帳に記入し(締切不要)、7月中の売上高、売上原価および売上総利益を計算しなさい。(日付と摘要は採点対象外)
1. 仕入取引 | |||||
×1年7月5日 | 群馬商店 | A商品 | 30個 | @5,000円 | 150,000円 |
7月15日 | 石川商店 | A商品 | 40個 | @5,100円 | 204,000円 |
2. 売上取引 | |||||
×1年7月9日 | 静岡商店 | A商品 | 30個 | @7,700円 | 231,000円 |
7月27日 | 埼玉商店 | A商品 | 45個 | @8,000円 | 360,000円 |
解き方のガイド(ここをクリック)
商品有高帳とは、在庫商品の数量や単価、合計金額を記録しておくための補助簿です。商品を仕入れたり、売り上げたりした際に記録を付けます。仕入は商品が入ってくることなので「商品の受け入れ」、売り上げは商品が出ていくことなので「商品の払い出し」といいます。
日商簿記3級の第2問でその記入問題が出題されることがあるため、商品有高帳の記入方法を覚えておく必要があります。
商品の受け入れ・払い出しがあった際に、商品有高帳にその詳細を記録していきます。
まず日付、取引の内容を示す摘要を記入します。商品を受け入れた場合は受入欄に数量・単価・合計金額を、商品を払い出した場合は払出欄に数量・単価・合計金額を記入します。最後に、在庫として残っている商品の数量・単価・合計金額を残高欄に記入します。
商品有高帳について重要なポイントは、2つあります。
1. 商品有高帳に記載する単価・合計金額は、必ず原価である
詳しくは、先入先出法①の解き方のガイドを参照してください。
2. 払出単価の計算方法 先入先出法・移動平均法
商品有高帳では払い出しの際に記録を付けます。つまり、商品を仕入れた受け入れ時だけでなく、払い出し時にも単価の記入が必要となります。しかし、同種の商品だとしても、仕入のタイミングや取引相手によって仕入価格が異なる場合があり得ます。そのため、払い出しの際に使う単価(払出単価)をどのように処理するのか、一定のルールに従って決めなければなりません。日商簿記3級では、払出単価を求める方法として2つのパターンがあります。それが先入先出法と移動平均法です。
【先入先出法】
先入先出法については、先入先出法①の解き方のガイドを参照してください。
【移動平均法】
移動平均法は、商品を仕入れるたびに、元からある在庫商品の単価と新しい単価を平均化していく方法です。同種商品の仕入価格は平均化した統一の単価となるので、先入先出法のように商品を異なる単価で分けることはありません。
たとえば、3日に1個あたり@70円でA商品10個を合計700円仕入れ、7日に同A商品を1個あたり@73円で20個1,460円仕入れたとき、10日に仕入れた際に商品の仕入単価を平均化します。平均単価は、仕入価格の合計を仕入個数の合計で割ることで求められます。
(700円+1,460円)÷(10個+20個)=@72円
したがって、このA商品30個の仕入単価は平均単価である1個あたり@72円として記録します。仮に商品を25個販売するならば、@72円を払出単価とした商品25個を払い出すことになりますし、在庫の5個も@72円です。そして、この後にさらに別単価でA商品の仕入れた場合は、再度平均単価を計算して記録します。
なお、移動平均法の「移動」は、仕入れるたびに平均単価が移動していく(更新していく)ことに由来しています。
先入先出法、移動平均法のどちらを使うのかは必ず問題文に指示があるので、指示された方法で記入してください。
本問では移動平均法が指示されています。その上で、仕入取引については受入高欄に、売上取引については払出高欄に各項目を記入していきます。残高欄には、各取引を行った後での在庫の詳細を記入します。先入先出法のように単価ごとに分けないので、「 { 」を記入する必要はありません。
商品有高帳 | ||
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(移動平均法) | A 商 品 |
×1年 | 摘 要 | 受 入 高 | 払 出 高 | 残 高 | |||||||
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数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
7 | 1 | 前月繰越 | 20 | 4,800 | 96,000 | 20 | 4,800 | 96,000 | |||
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用語の説明(ここをクリック)
【月初商品棚卸高】
月初めに在庫としてあった商品のことなので、商品有高帳における前月繰越の金額です(単価ではなく数量分の合計金額)。
【当月商品仕入高】
当月に仕入れた商品のことなので、商品有高帳における仕入の金額です。2回仕入れているので、その合計金額です。問題文の1.仕入取引の合計金額でもあります。
【月末商品棚卸高】
月末に在庫としてあった商品のことなので、商品有高帳における当月最後の取引後の残高の金額です。本問では省かれていますが、次月繰越の行があればその金額でもあります。
【売上原価】
まず、月初商品棚卸高に当月商品仕入高を加えた金額が、当月中にいったん在庫となった商品の全額です。そこから月末に残った商品である月末商品棚卸高を差し引けば、当月中に出庫された商品、つまり売り上げた商品の仕入価格がわかります。これが売上原価です。
【売上高】
当月に売り上げた商品なので、問題文の2.売上取引の合計金額です。商品有高帳に記載されている金額は全て仕入価格なので、売上高として必要な販売価格は載っていません。なお、この部分にのみ販売価格が必要となります。
【売上総利益】
当月の売上高から、売り上げた商品仕入にかかった費用である売上原価を差し引けば、商品売買で当月いくら利益が出たのかがわかります。これが売上総利益です。粗利とも言います。