仕訳プリント⑪ 再振替仕訳 

次の取引を仕訳しなさい。

①~②は連続した取引である。

関連:仕訳プリント⑨ 前払前受未収未払

1. ① 決算において、保険料の前払額¥24,000を計上した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

前払保険料24,000保険料24,000

【解説

仕訳プリント⑨前払前受未収未払で練習したように、期中に計上した保険料(費用)を減少させて、前払保険料(資産)を計上します。
なお、これは借方にある保険料24,000を前払保険料に振り替える仕訳といえます。

保険料(費用)を減少させるので貸方(右)に保険料24,000、その分前払保険料(資産)を増加させるので借方(左)に前払保険料24,000を示します。

1. ② 期首に際して前期決算で計上した前払保険料¥24,000を再振替する仕訳をした。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

保険料24,000前払保険料24,000

【解説

前期決算において計上した前払保険料は、資産であるため当期に繰り越されてきます。
その繰り越されてきた前払保険料を、当期の保険料として計上するために、前期決算において行った①の振替仕訳の逆仕訳=再振替仕訳を、当期の期首に行います。

この再振替仕訳を行うことによって何が起こるのでしょうか。
まず、前払保険料については、前期から借方残高24,000が繰り越されていました。そして、この仕訳によって貸方に24,000が計上されることになりました。その結果、貸借での相殺がおこり、前払保険料の残高は0になりました(①と➁の仕訳の前払保険料だけが相殺されます)。
一方、保険料については、費用であるため前期から繰り越されてくることはありません。したがって、再振替仕訳によって相殺はおきず、新たに借方に24,000が計上されることになりました。
以上によって、本来当期に計上すべきなのに前期に計上してしまっていた分の保険料24,000を、当期に正しく計上することができました。
このようにして、繰り越すことができない費用や収益を、適正な損益計算に則って前期から当期へと移行することができます。

保険料(費用)が増加したので借方(左)に保険料24,000、前払保険料(資産)が減少したので貸方(右)に前払保険料24,000を示します。

前期の決算で計上していた収益・費用の前払・前受・未収・未払勘定は、当期の期首において、計上時の仕訳の逆仕訳(再振替仕訳)を行うことで、当期への移行が完了する

2. ① 決算において、未払利息¥6,000を計上した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

支払利息6,000未払利息6,000

【解説

未払利息とは、当期に支払うべきなのにだ支払えていない利息ということになります。
したがって、未払利息を計上するということは、当期にまだ支払えていない利息を支払ったとみなして支払利息で計上し、実際の支払いは次期以降に後回しすることを意味する未払利息で処理する仕訳を行う、ということです。

支払利息(費用)を増加させるので借方(左)に支払利息6,000、その分未払利息(負債)を増加させるので貸方(右)に未払利息6,000を示します。

2. ② 期首に際して前期決算で計上した未払利息を再振替する仕訳をした。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

未払利息6,000支払利息6,000

【解説

前期決算において計上した未払利息は、負債であるため当期に繰り越されてきます。
その繰り越されてきた未払利息を、当期の支払利息として計上するために、前期決算において行った①仕訳の再振替仕訳を行います。

この再振替仕訳を行うことによって何が起こるのでしょうか。
まず、未払利息については、前期から貸方残高6,000が繰り越されていました。そして、この仕訳によって借方に6,000が計上されることになりました。その結果、貸借での相殺がおこり、未払利息の残高は0になりました。
一方、支払利息については、費用であるため前期から繰り越されてくることはありません。したがって、相殺はおきずに新たに貸方(右)に6,000が計上されることになりました。費用は本来増えたら借方(左)に計上されるので、この段階では支払利息がマイナス6,000という状態です。
これは、当期のどこかのタイミングでこの利息6,000円を支払い、支払利息の増加として借方に6,000を計上したとしても、マイナスを意味する貸方残高6,000と相殺されて、この利息は当期の費用(支払利息)としては計上されないということです。
つまり、そのときに支払った利息6,000円分はあくまで前期に費用計上したものとみなされ、当期の費用計算には算入されません。
このように、本来前期に計上すべき支払利息6,000は前期に支払ったとみなして、実際には当期に支払ったとしても当期分としては計上しないようにすることができました。

未収利息(負債)が減少したので借方(左)に未収利息6,000、支払利息(費用)を減少させるので貸方(右)に支払利息6,000を示します。

3. ① 決算において、手数料の前受額¥7,200を計上した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

受取手数料7,200前受手数料7,200

【解説

手数料の前受額ですから、本来受け取るべきタイミングよりも前に受け取った受取手数料ということになります。
つまり、期中に計上した受取手数料(収益)を減少させて、前受手数料(負債)を計上します。

受取手数料(収益)を減少させるので借方(左)に受取手数料7,200、その分前受手数料(負債)を増加させるので貸方(右)に前受手数料7,200を示します。

3. ② 期首に際して前期決算で計上した前受手数料¥7,200を再振替仕訳した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

前受手数料7,200受取手数料7,200

【解説

前期決算において計上した前受手数料は、負債であるため当期に繰り越されてきます。
その繰り越されてきた前受手数料を、当期の受取手数料として計上するために、前期決算において行った①仕訳の再振替仕訳を行います。

この再振替仕訳を行うことによって何が起こるのでしょうか。
まず、前受手数料については、前期から貸方残高7,200が繰り越されていました。そして、この仕訳によって借方に7,200が計上されることになりました。その結果、貸借での相殺がおこり、前受手数料の残高は0になりました。
一方、受取手数料については、収益であるため前期から繰り越されてくることはありません。したがって、新たに貸方に7,200が計上されることになりました。
以上によって、本来当期に計上すべきなのに前期に受け取っていた分の受取手数料7,200を、当期に正しく計上することができました。

前受手数料(負債)が減少したので借方(左)に前受手数料7,200、受取手数料(収益)が増加したので貸方(右)に受取手数料7,200を示します。

4. ① 決算において、未収家賃¥50,000を計上した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

未収家賃50,000受取家賃50,000

【解説

未収家賃とは、当期に受け取るべきなのにだ徴収できていない家賃ということになります。
したがって、未収家賃を計上するということは、当期にまだ徴収できていない家賃を受け取ったとみなして受取家賃を計上し、実際の受け取りは次期以降に後回しすることを意味する未収家賃で処理する仕訳を行う、ということです。

受取家賃(収益)を増加させるので貸方(右)に受取家賃50,000、その分未収家賃(資産)を増加させるので借方(左)に未収家賃50,000を示します。

4. ② 期首に際して前期決算で計上した未収家賃を再振替する。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

受取家賃50,000未収家賃50,000

【解説

前期決算において計上した未収家賃は、資産であるため当期に繰り越されてきます。
その繰り越されてきた未収家賃を、当期の受取家賃として計上するために、前期決算において行った①仕訳の再振替仕訳を行います。

この再振替仕訳を行うことによって何が起こるのでしょうか。
まず、未収家賃については、前期から借方残高50,000が繰り越されていました。そして、この仕訳によって貸方に50,000が計上されることになりました。その結果、貸借での相殺がおこり、未収家賃の残高は0になりました。
一方、受取家賃については、収益であるため前期から繰り越されてくることはありません。したがって、新たに借方に50,000が計上されることになりました。受取家賃がマイナス50,000という状態です。
これは、当期のどこかのタイミングでこの家賃50,000円を受け取り、受取家賃の増加として貸方に50,000を計上したとしても、マイナスを意味する借方残高50,000と相殺されて、この家賃は当期の収益(受取家賃)としては計上されないということです。
つまり、そのときに受け取った家賃50,000円分はあくまで前期に収益計上したものとみなされ、当期の収益計算には算入されません。

受取家賃(収益)が減少したので借方(左)に受取家賃50,000を、未収家賃(資産)が減少したので貸方(右)に未収家賃50,000を示します。

5. ① 決算において、通信費で処理していた切手の未使用分¥4,000を貯蔵品に計上した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

貯蔵品4,000通信費4,000

【解説

切手は、購入した際には通信費として計上しますが、決算までにその切手が使用されずに残っている場合は、勘定科目「貯蔵品(資産)」に振り替えて次期に繰り越すことになります。
本問もこれまでの問題と同じように、繰り越せない費用を次期に繰り越すための仕組みといえます。
ただ、新たに「貯蔵品」という別名義の勘定科目を使うところに注意が必要です。

通信費(費用)を減少させるので貸方(右)に通信費4,000、その分貯蔵品(資産)を増加させるので借方(左)に貯蔵品4,000を示します。

決算において、切手(通信費)や収入印紙(租税公課)が残っている場合は、「貯蔵品」に振り替えて、次期に繰り越す

※上述したように、貯蔵品に振り替えるものとして、通信費で処理する切手だけでなく、租税公課で処理する収入印紙もあてはまります。

5. ② 期首に際して前期決算で計上した貯蔵品の再振替仕訳をした。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

通信費4,000貯蔵品4,000

【解説

①で通信費から振り替えた貯蔵品(切手)について、翌期首にて再振替仕訳をします。
切手は、購入使用のタイミングが異なる可能性が十分にありえます。購入と使用が当期中であれば問題ありませんが、その間で期を跨ぐ場合は正しい費用計算をしなければなりません。
だからと言って、切手を購入したときに貯蔵品に計上し、切手を使用するたびに通信費に振り替えるとなると、実務において確認や仕訳で大変手間がかかってしまいます。
ゆえに、実際には当期にどのくらい切手を使用したのか、つまり、当期の通信費としてどれだけ計上すべきなのかということを正確かつ簡易に把握するために、①決算での振替仕訳と②翌期首での再振替仕訳をする必要があるのです。

通信費(費用)が増加したので借方(左)に4,000、貯蔵品(資産)が減少したので貸方(右)に貯蔵品4,000を示します。

※これは、「商品」と「仕入」の関係性と同じようなものです。商品を仕入れた際、実際には商品という資産を得ているにもかかわらず、仕入という費用として計上してしまいます。これは、商品売り上げの際に一々商品から仕入(売上原価)に振り替える仕訳をするのが手間なので、商品を仕入れた最初に全部仕入という費用にしてしまって、決算時に売れずに残っていた商品を繰越商品という資産に振り替えて、次期に繰り越しているのです。

6. ① 決算において、当座預金勘定の貸方残高¥85,000を当座借越勘定に振り替えた。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

当座預金85,000当座借越85,000

【解説

当座預金は、手形や小切手の支払いのために預け入れておく預金です。
本来であれば、それらの支払いは残高いっぱいまでしかできないはずですが、銀行と契約することで、残高が0になったとしても銀行から借りる形で支払いができる仕組みがあります。この契約のことを、当座借越契約といいます。
期中においては、支払いが当座預金残高をオーバーしてしまったときには、当座預金の貸方(右)にそのオーバー分の残高を示します。当座預金のマイナス状態を意味します。このマイナス状態は非常に短期的なことが多いので、日常的な記帳業務のためには、このように示しておいた方が便利なのです。
しかし、これは当然銀行からの融資の一種ですので、貸借対照表を作成する際には、これは借金であるとしっかり示さなければなりません。
したがって、決算において当座預金の貸方に残高がある場合は、この残高を勘定科目「当座借越(負債)」に振り替えて、これは借金であるということを明示します。
またこうすることで、実質的には当座預金の残高が0であることも示すことができます。

マイナスである当座預金(資産)を0にするために増加させるので借方(左)に当座預金85,000、当座借越(負債)を増加させるので貸方(右)に当座借越85,000を示します。

当座預金に貸方残高がある場合、それは実質的には借金である
決算において、当座預金の貸方残高は借金であることを明示するため、その残高を当座借越などに振り替える

※なお、必ずしも「当座借越」に振り替えるわけではありません。「借入金」など、借金であることを示す別の勘定科目に振り替える場合もあります。問題文の指示に従いましょう。

6. ② 期首に際して、前期決算で計上した当座借越勘定を当座預金勘定へ再振替仕訳した。

借 方 科 目 金  額 貸 方 科 目 金  額
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【解答】

当座借越85,000当座預金85,000

【解説

前期決算において当座預金の貸方残高を当座借越に振り替えましたが、このままでは日常的な記帳をする上では不便になってしまいます。
したがって、翌期首にはその再振替仕訳を行い、当座預金の貸方残高を示すようにします。

当座借越(負債)が減少したので借方(左)に当座借越85,000、当座預金(資産)が減少したので貸方(右)に当座預金85,000を示します。

※実務においてはこの当座借越について、一勘定制(当座預金勘定のみを使う)や二勘定制(日常業務から当座預金と当座借越を使う)のような処理方法もあります。しかし、日商簿記3級においては本問のようなかたちでのみ出題されます。

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