仕訳プリント⑧-2 固定資産売却
次の取引を仕訳しなさい。(1)~(3)は
連続した取引を意味している。
1. (1) 期首に備品¥240,000を購入し、代金は現金で支払った。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
備 品 | 240,000 | 現 金 | 240,000 |
【解説】
備品を現金で購入した際の仕訳をします。
備品(資産)が増加したので借方(左)に備品240,000、現金(資産)が減少したので貸方(右)に現金240,000を示します。
1. (2) 決算において、上記備品の減価償却を定額法で行う。耐用年数は4年、残存価額はゼロとする。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
減価償却費 | 60,000 | 備品減価償却累計額 | 60,000 |
【解説】
備品の減価償却を行う仕訳をします。
取得原価は(1)から、減価償却の条件は本問の問題文からわかります。
減価償却費:取得原価240,000円÷耐用年数4年=60,000円
ゆえに、備品について60,000円の減価償却を行います。
減価償却費(費用)が増加したので借方(左)に減価償却費60,000、備品減価償却費累計額(資産のマイナス)が増加したので貸方(右)に備品減価償却費累計額60,000を示します。
1. (3) 翌期の期首に上記備品を¥155,000で売却し、代金は翌月に受け取ることとした。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
備品減価償却累計額 | 60,000 | 備 品 | 240,000 |
未収入金 | 155,000 | ||
固定資産売却損 | 25,000 |
【解説】
固定資産を売却したときの仕訳をします。
この備品は、前期決算において一度減価償却してあるため、売却した期首時点での帳簿価額(実質的な価額)は次のようになっています。
帳簿価額:取得原価240,000円-減価償却累計額60,000円=180,000円
帳簿価額180,000円の価値がある備品を155,000円で売ったのですから、25,000円分損をしたということができます。
こういった固定資産の売却に伴って発生する差額を、損したならば勘定科目「固定資産売却損(費用)」、得したのならば「固定資産売却益(収益)」を使って処理します。
なお、備品の帳簿価額は180,000円ですが、間接法においてそれは備品減価償却累計額を使って間接的に示しています。
(帳簿価額180,000円を、「備品240,000円、備品減価償却累計額60,000円」として表現)
つまり、「備品」勘定の金額は取得原価240,000円から変わっていません。ゆえに、備品の売却の際には、備品240,000円をそのまま減らす処理をします。
また、備品を売却したことで備品が手元からなくなったのですから、同時にその評価勘定であった備品減価償却累計額もなくなる(減らす)ように処理します。
備品(資産)が減少したので貸方(右)に備品240,000、同時に備品の評価勘定である備品減価償却累計額(資産のマイナス)も減少したので借方(左)に備品減価償却累計額60,000を、また未収入金(資産)が増加したので借方(左)に未収入金155,000、固定資産売却損(費用)が発生したので借方(左)に固定資産売却損25,000を示します。
固定資産を売却する際には、固定資産とその減価償却累計額がともになくなるように仕訳する
固定資産の売却で、損したのならば「固定資産売却損」、得したのならば「固定資産売却益」で表す
2. 建物(取得原価¥1,000,000、減価償却累計額¥640,000)を期首に¥400,000で売却し、代金は先方振出の小切手で受け取った。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
建物減価償却累計額 | 640,000 | 建 物 | 1,000,000 |
現 金 | 400,000 | 固定資産売却益 | 40,000 |
【解説】
建物を売却した際の仕訳をします。
建物の帳簿価額は次の通りです。
帳簿価額:取得原価1,000,000円-建物減価償却累計額640,000円=360,000円
帳簿価額360,000円の建物を400,000円で売ったので、40,000円の得、つまり固定資産売却益が発生します。
建物(資産)が減少したので貸方(右)に建物1,000,000、同時に建物の評価勘定である建物減価償却累計額(資産のマイナス)も減少したので借方(左)に備品減価償却累計額640,000を、また現金(資産)が増加したので借方(左)に現金400,000、固定資産売却益(収益)が発生したので貸方(右)に固定資産売却益40,000を示します。
3. 当期の期首に備品(取得原価¥120,000、減価償却累計額¥40,000)を¥70,000で売却し、代金は現金で受け取った。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
備品減価償却累計額 | 40,000 | 備 品 | 120,000 |
現 金 | 70,000 | ||
固定資産売却損 | 10,000 |
【解説】
備品を売却した際の仕訳をします。
備品の帳簿価額は次の通りです。
帳簿価額:取得原価120,000円-備品減価償却累計額40,000円=80,000円
帳簿価額80,000円の備品を70,000円で売ったので、10,000円の損、つまり固定資産売却損が発生します。
備品(資産)が減少したので貸方(右)に備品120,000、同時に備品の評価勘定である備品減価償却累計額(資産のマイナス)も減少したので借方(左)に備品減価償却累計額40,000を、また現金(資産)が増加したので借方(左)に現金70,000、固定資産売却損(費用)が発生したので借方(左)に固定資産売却損10,000を示します。
4. 当期の9月30日に備品(取得原価¥120,000、減価償却累計額¥40,000、耐用年数5年、残存価額:ゼロ、定額法)を¥70,000で売却し、代金は現金で受け取った。当社は3月31日決算である。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
備品減価償却累計額 | 40,000 | 備 品 | 120,000 |
減価償却費 | 12,000 | 固定資産売却益 | 2,000 |
現 金 | 70,000 |
【解説】
本問はこれまでの固定資産売却よりも難しくなっています。
問1(3)、問2、問3では、固定資産を売却したタイミングが期首でした。つまり、前期決算で減価償却が行われ、当期に使用していないため、売却時に新たに減価償却をする必要がない状態で売却を行いました。
一方、本問では期中に固定資産の売却を行っています。減価償却は基本的に決算のタイミングで行うため、まだ決算に至っていない期中においては、備品を使用していた当期首から売却日までの減価償却が行われていません。
しかし、その期間に使用しているのですからその分の減価償却をしなければなりません。したがって、売却の際にまだしていない4月1日~9月30日の6か月分の減価償却を行う必要があります。
この減価償却は、固定資産の期中取得の場合と同じように、月割計算します。
減価償却費:取得原価120,000円÷耐用年数5年÷12か月×6か月=12,000円
したがって、備品の当期6か月分の減価償却費は12,000円だとわかりました。
備品の売却の際には、ここで計算した減価償却費も計上して、売却の仕訳を行います。
売却時の備品の帳簿価額は次の通りです。
帳簿価額:取得原価120,000円-備品減価償却累計額40,000円-減価償却費12,000円=68,000円
帳簿価額68,000円の備品を70,000円で売ったので、2,000円の得、つまり固定資産売却益が発生します。
備品(資産)が減少したので貸方(右)に備品120,000、同時に備品の評価勘定である備品減価償却累計額(資産のマイナス)も減少したので借方(左)に備品減価償却累計額40,000、6か月分の減価償却費(費用)が増加したので借方(左)に減価償却費12,000を、また現金(資産)が増加したので借方(左)に現金70,000、固定資産売却益(収益)が発生したので借方(左)に固定資産売却益2,000を示します。
<注意>
本問のような問題において、減価償却費を減価償却累計額に加算してしまい、次のように仕訳をしてしまうミスがみられます。
備品減価償却累計額 | 52,000 | 備 品 | 120,000 |
現 金 | 70,000 | 固定資産売却益 | 2,000 |
そもそもこの備品の減価償却累計額は貸方(右)に残高40,000円しかなかったはずです。つまり、借方(左)に52,000円も記入すると、当の備品は売却してもう手元にないのに、帳簿上で、備品減価償却累計額だけが借方に12,000円残っているという訳の分からない状態になってしまいます。
仮にこの仕訳をするためには、次のようにひと手間かけなければなりません。
減価償却費 | 12,000 | 備品減価償却累計額 | 12,000 |
備品減価償却累計額 | 52,000 | 備 品 | 120,000 |
現 金 | 70,000 | 固定資産売却益 | 2,000 |
まず、減価償却費と備品減価償却累計額を12,000円分計上します。こうすることで、備品減価償却累計額が貸方52,000円(元々の40,000+新たな12,000)となり、備品を売却する際に52,000円を打ち消せます。
しかし、貸借に備品減価償却累計額があり12,000円分を相殺できるので、結局は解答の仕訳と同じになります。
間違いやすい部分なので注意しましょう。
5. 当期の12月31日に備品(取得原価¥200,000、減価償却累計額¥60,000、耐用年数6年、残存価額:取得原価の10%、定額法)を¥160,000で売却し、代金は現金で受け取った。当社は3月31日決算である。
借 方 科 目 | 金 額 | 貸 方 科 目 | 金 額 |
---|---|---|---|
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
<解答・解説>ここをクリック
【解答】
備品減価償却累計額 | 60,000 | 備 品 | 200,000 |
減価償却費 | 22,500 | 固定資産売却益 | 42,500 |
現 金 | 160,000 |
【解説】
問4と同じように、期中での固定資産の売却です。
期首4月1日から売却日12月31日の9か月分の減価償却費を算出します。
減価償却費:取得原価200,000円×0.9÷耐用年数6年÷12か月×9か月=22,500円
当期9か月分の減価償却費は22,500円だとわかりました。
したがって、売却時の備品の帳簿価額は次の通りです。
帳簿価額:取得原価200,000円-備品減価償却累計額60,000円-減価償却費22,500円=117,500円
帳簿価額117,500円の備品を160,000円で売ったので、42,500円の得、つまり固定資産売却益が発生します。
備品(資産)が減少したので貸方(右)に備品200,000、同時に備品の評価勘定である備品減価償却累計額(資産のマイナス)も減少したので借方(左)に備品減価償却累計額60,000、9か月分の減価償却費(費用)が増加したので借方(左)に減価償却費22,500を、また現金(資産)が増加したので借方(左)に現金160,000、固定資産売却益(収益)が発生したので借方(左)に固定資産売却益42,500を示します。