長野商店は日々の取引を入金伝票、出金伝票、振替伝票にて記録し、これを1日分ずつ集計して仕訳日計表を作成している。以下は同店の×3年4月1日の取引について作成された各伝票である。これらにもとづき、解答欄の仕訳日計表を完成させなさい。また、×3年4月1日現在の松本商店に対する売掛金残高を求めなさい。なお、×3年3月31日時点の松本商店に対する売掛金残高は¥63,000であった。

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日々の取引を伝票に記録していく場合、それらを月末や期末まで放置しておくと、あとで伝票を1枚1枚集計しながら総勘定元帳としてまとめる作業が膨大かつ煩雑になってしまいます。
そこで、作業を効率化するために、1日や1週間などある一定期間を単位として伝票をまとめて、それを記録づけておく作業を行います。
この伝票の集計作業を1日単位で行って作成するのが、仕訳日計表です。名前に仕訳と付いていますが、あくまで伝票の集計表です。仕訳日計表を作ることで、ある1日において各勘定科目がどのように変動したのかが一目瞭然となります。
ちなみに、週ごとに作成する場合は仕訳集計表といいますが、こちらは検定で出題されません。

仕訳日計表の作成方法は単純です。1日の間に起票した各伝票からそれぞれの仕訳を作成し、各勘定科目の金額を合算して記入します。その際、借方(左)・貸方(右)ともに仕訳で計上された側を差し引きなどはせずに単純に足して示します。
たとえば、3日にあった取引において、現金が2回増加して借方に500円、700円計上され、1回減少して貸方に300円計上したとします。この日の仕訳日計表の現金の欄では、借方に1,200(=500+700)、貸方に300と記入します。
ここで「1,200円増えて300円減ったから最終的には900円の増加だ」と思って、借方だけに900と記入してしまう間違いがありますが、これでは1日で現金がどれだけ増えてどれだけ減ったのかがあとで把握できません。あくまで、増加分は増加分で記録を残し、減少分は減少分で記録を残すようにしてください。

以上を踏まえて、本問を解いていきましょう。まず、問題で示されている×3年4月1日の各伝票を仕訳にしましょう。

① 入金伝票の仕訳(No.101-103)
入金伝票が示す取引は、現金が入ってくる、つまり現金が増加する取引なので、借方に現金を計上する仕訳になります。
それぞれを仕訳にしてみましょう。
なお、売掛金や買掛金には取引相手も示してあるので、それも含めて仕訳の勘定科目とします。
No.101 現 金
No.102 現 金
No.103 現 金
② 出金伝票の仕訳(No.201-203)
出金伝票が示す取引は、現金が出ていく、つまり現金が減少する取引なので、貸方に現金を計上する仕訳になります。
それぞれを仕訳にしてみましょう。
No.201 現 金
No.202 現 金
No.203 現 金
③ 振替伝票の仕訳(No.301-303)
振替伝票が示す取引は、現金が関係ない取引として仕訳にします。
スペースが小さいため少しわかりにくいですが、振替伝票の左に寄っている上の行が借方、右に寄っている下の行が貸方を示しています。
それぞれを仕訳にしてみましょう。
No.301
No.302
No.303

各仕訳ができたら、あとはそれぞれの勘定科目の借方・貸方の金額を合計し、仕訳日計表に記入します。
なお、解答欄の仕訳日計表では売掛金や買掛金の勘定科目名には(○○商店)などはなくそのまま示されています。そのため、○○商店など取引相手ごとに分けずに売掛金・買掛金それぞれの合計額を記入してください。
また、計上がなくて0となるの場合は空欄とします。
以上が、仕訳日計表の基本的な記入方法です。

また、本問ではもう一つ問題が付け加えられており、×3年4月1日の松本商店に対する売掛金残高が求められています。
問題文から、前日3月31日時点での松本商店に対する売掛金は63,000円であったことがわかります。この金額をスタートとして、仕訳から売掛金(松本商店)に関わるものをピックアップし、4月1日で売掛金(松本商店)がどのように変動して最終的な残高がいくらになったのかを考えてみましょう。
注意すべきは、松本商店に対する売掛金だけが計算の対象になることです。仕訳日計表の売掛金欄では、松本商店も上田商店も関係なく全ての売掛金を合算して示しました。しかしこの問題では、上田商店に対する売掛金は松本商店に対する売掛金の計算に含めてはいけません。

 前日の売掛金残高 63,000 -  +  = 
 仕 訳 日 計 表 
×3年4月1日 (単位:円)
借  方 勘 定 科 目 貸  方
現金
売掛金
買掛金
売上
仕入
通信費

×3年4月1日の松本商店に対する売掛金勘定の残高 ¥