第2問対策
(2) 次の×3年11月の取引のうち、X商品について移動平均法により商品有高帳を作成し、11月中の売上高、売上原価および売上総利益を計算しなさい。(摘要は採点対象外)
11月4日 | X商品150個を@¥3,700で仕入れた。 |
11月10日 | X商品140個を@¥6,800で売り上げた。 |
11月16日 | X商品110個を@¥4,200で仕入れた。 |
11月17日 | 11月16日に仕入れたX商品のうち30個を返品した。 |
11月25日 | X商品120個を@¥7,000で売り上げた。 |
解き方のガイド(ここをクリック)
本問は移動平均法による商品有高帳の問題です。基本的な解き方は移動平均法①と同じです。商品有高帳に記録する金額は原価であることなどに注意してください。
また、商品有高帳の次月繰越・合計欄の記入方法などについては先入先出法②の解き方のガイドを参照してください。これらの記入方法については、単価を分けるか平均化するか以外に先入先出法と移動平均法で差異はありません。
本問では、それらに加えて、仕入戻しの要素が付け加えられています。
仕入戻し(仕入返品)
問題文に仕入戻しの取引が示されています。仕入戻しは品違いや不良品などのために、仕入れた商品を返品する取引です。返品したのですから、手元にある商品はその分減少します。したがって、商品有高帳において商品の払い出しとして記録しましょう。
ここで注意が必要です。仕入戻しの際に、払出単価はいくらにすべきでしょうか。17日の直前の単価は、16日の仕入取引の残高欄を見ると、払出単価@4,010円になっているはずです。しかし、返品したのは16日に仕入れた商品です。返品にはそれ以前から持っていた商品は含まれないため、16日に仕入れた仕入単価@4,200円の商品を30個返品したことになります。したがって、17日に返品した商品の金額は、仕入れたときの単価@4,200円で計算しなければなりません。
普通に商品を売り上げて払い出しを記録する際には、直前にある残高の払出単価を使います。一方、このように仕入戻しとして商品の払い出しを記録するときには、返品する商品の仕入単価を使って計算することに留意してください。
加えて、さらに重要なのが仕入戻しをした後の商品残高の単価が変動することです。この仕入戻しによって、@4,200円の商品30個合計126,000円が払い出されています。これが意味するのは、16日に@4,200円の商品110個合計462,000円を受け入れたことを取り消し、それに代えて16日に@4,200円の商品80個合計336,000円を受け入れたということです。つまり、平均単価を求めるために前提となっていた商品の個数や金額が変更されているのです。したがって、変更後の数値にもとづいて、新たに平均単価を計算しなければいけません。
また、この仕入戻しは当月商品仕入高に影響します。商品の仕入れを取り消したのですから、その分仕入は減少します。したがって、当月商品仕入高を計算する際には、仕入の合計金額から仕入戻しの金額を差し引く必要があります。
なお、問題によっては売上戻りが扱われる場合もあります。売上戻りは払い出した商品が返品されて手元に増えるので、商品の受け入れとして記録します。詳しくは先入先出法②の解き方のガイドを参照してください。
(なぜ、仕入戻しは仕入戻「し」で、売上戻りは売上戻「り」であるかというと、仕入戻しは自らが主体的になって行うのに対し、売上戻りは自分はあくまで受け手である、という違いによるものです)
商品有高帳 | ||
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(移動平均法) | X 商 品 |
×3年 | 摘 要 | 受 入 高 | 払 出 高 | 残 高 | |||||||
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数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
11 | 1 | 前月繰越 | 100 | 4,000 | 400,000 |
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4
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10
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16
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17
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25 |
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31 | 次月繰越 |
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ー
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12 | 1 | 前月繰越 |
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